工芸 | スクラッチモデル | 高梨廣孝 |
■スクラッチモデルとは
スクラッチモデルとは、ミュージアムや書籍、コレクターなどから資料を収集し、図面を作成して、既成の部品は使わず自作の部品で組み上げたモデルのこと。「スクラッチ」という言葉は”start from scratch”(ゼロから始める)という慣用語に由来する。通常1台のみ制作される場合が多く、特にこれらを通称 ONE OFF(ワンオフ)と呼びその精度や実物の再現性は極めて高い。また材料の選定、使用する道具、工作方法などに制作者の創意が盛り込まれ、工芸品としての品格を備えている
■モデルを制作する目的
大学時代に志した金属工芸家の夢を蘇らせ、現在、スクラッチモデラーとして自宅に設置した工房で制作しております。ライフワークとなったこのモデル制作は、消失しつつある実車の資料収集に始まり、図面制作および1台あたり約7〜800点にわたる部品を1年がかりで、すべて自作するものです。日本においては、モデル制作は大人の”手なぐさみ”と軽んぜられる傾向にあり、この分野を工芸の域まで高めるために個展や雑誌への発表を精力的に行っている。
六本木アクシスでの個展(2011年2月)
山脇学院ギャラリーでのグループ展(2013年7月)
芸術新潮(2011年3月号)
カーグラフィック(2011年5月号)
凝縮の美学(2011年6月 INAXギャラリー刊)
YAMAHA SR400 1990 / Scale 1/6 Photographer / Terutaka Hoashi
Bohmerland 598(ボーマーランド) 1925 / Czechoslovakia / Scale1/9 |
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NER-A-CAR(ネラカー) 1925 / United Kingdom / Scale1/9 |
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NER-A-CARというネーミングは、これを設計しRNER-A-CArCarl A.Neracheの名前と外観の特徴から来ている。フロントフェンダーは固定されており、ホイールが左右に動いてもぶつからないように幅広になっている。車輪が2つしか無いことを除けば、極めて4輪に近い構成である。低重心のため操縦がしやすく、オープンフレームが幸いしてスカートなど衣類の汚れや恰好を気にせず乗れるため、女性にも大いに受けた。イギリスの博物館から放出された貴重な1台であり、オーナーを探し出すのに大変苦労した、 |
DUCATI cucciolo T2(ドウカティ クッチェロ) 1952/ Italy / Scale1/9 |
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YAMAHA V-MAX(ヴィ マックス) 1990/ Japan / Scale1/9 |
1980年代半ばの北米マーケットは、経済不況の影響を受けてバイクメーカーにとっては冬の時代であった。出せば売れる時代は過去のものとなり、明確な個性を持ち新しい価値観を持ったバイクの登場が待ち望まれていた。ヤマハは、1985年にドラッグレース・マシーンのような強烈なパワーを持ちマッシブで重量感あふれるスタイリングの「スーパースプリント・アメリカン」を市場に投入した。V-MAXはアメリカ市場向けに開発されながら、ハーレー・ダヴィッドソンに代表されるアメリカンクルーザーではない全く新しいジャンルを開拓し、追従するライバルが存在しない孤高のスポーツバイクとしてヤマハを代表するロングセラーの名車となった |